鑑賞者の間で極めて多く検索されているのが、私の頭の中の消しゴム 実話の背景に関する真偽です。「実在した若き夫婦の手記がベースなのではないか」という噂が根強く囁かれていますが、結論から言えば、本作は単一の特定人物をモデルにしたノンフィクションではありません。本作の直接的なルーツは、2001年に日本の読売テレビ・日本テレビ系列で放送された連続ドラマ『Pure Soul 君が僕を忘れても』(永作博美・緒形直人主演、脚本:江頭美智留)です。
当時、ドラマ版の制作陣は若年性アルツハイマー病患者の家族会や専門医への丹念な取材を重ね、20代〜30代で発症する過酷な病態と家族の苦悩をリアルに描き出しました。映画版はその骨太な医療ドラマの精神を忠実に継承しつつ、韓国特有の情念の深さ(恨/ハン)や身分差恋愛のダイナミズムを融合させ、より映画的なメロドラマへと昇華させたリメイク作品です。
日本版ドラマと韓国映画版の差異を客観的に可視化するため、主要項目の比較データを下表にまとめました。
韓国映画版の特筆すべき功績は、2時間の尺に収めるためにプロットを研ぎ澄まし、「コンビニのコーラ」「屋台の焼酎」「ポストイットで埋め尽くされた部屋」といった視覚的記号を鮮烈に機能させた点にあります。日本発の真摯な社会派医療ドラマが、国境を越えてアジア全土を揺るがす普遍的クラシックへと生まれ変わった稀有な成功事例といえます。