近年における清水崇監督の試みは、ホラーというジャンルを進化させる実験精神に満ちています。2023年に公開された『忌怪島/きかいじま』では、メタバース(VR空間)の研究チームが閉ざされた島で遭遇する怪異を描きました。
本作の深い考察ポイントは、「デジタルの仮想空間」と「土着の怨霊(イマジョ)」という正反対の要素の融合です。科学で解明しようとする現代人の傲慢さが、過去の理不尽な迫害によって生まれた怨念を呼び覚ましてしまう皮肉な構図は、単なるパニックホラーにとどまらない文明論的なメッセージとして高く評価されました。
さらに2024年に公開された『あのコはだぁれ?』は、『ミンナのウタ』のDNAを受け継ぐ学園ホラーとして大きな話題を呼びました。夏休みの補習授業を受ける教室という密室で、いないはずの「あのコ」の存在がじわじわと日常を侵食していくプロットは、「原点回帰の怖さ」「学校という身近な舞台設定がトラウマになる」とSNSを中心に絶賛を集めました。若手キャストの魅力を引き出しつつ、恐怖表現の純度を高める手腕は円熟の域に達しています。