読者の間でしばしば混同されるのが、「告白シーンは何巻何話なのか」という点と「白杖代とお札のキスの真意」です。これらに関する誤解を解くことは、作品をより深く味わう上で不可欠な視点となります。
まず「告白シーン」についてですが、少女漫画のようなストレートな「好きです、付き合ってください」という形式の告白は、二人の間では行われていません。寧々が自らの想いを自覚し、花子くんに対して「私はもっと花子くんのことを知りたい、一緒にいたい」と魂をぶつけるシーンは、単行本10巻から12巻のエソラゴト編にかけて描かれます。これは形式的な恋人関係を結ぶ告白ではなく、相手の運命を背負う覚悟を誓う「存在の肯定」であり、表面的な告白以上の重みを持っています。
また、「お札や白杖代への口づけ」を単なるフェティシズム的な演出と捉えるのも誤解の一つです。伝承や民俗学において、息を吹きかける行為や口唇での接触は、自らの魂(霊力)を分け与える、あるいは相手を強く束縛する「契約儀礼」としての意味合いを持ちます。花子くんが呪具を口元に寄せる仕草は、怪異としての支配力と、寧々を決して彼岸へ連れて行かないという防壁の役割を同時に果たしているのです。