胃は左右対称ではなく、人体の中で左側に大きく膨らんだ「そら豆」のような形状をしています。食道から胃へとつながる入り口(噴門)は右寄りの上部に位置し、胃の大部分(胃体部・胃底)は左側にカーブを描いて垂れ下がっています。この解剖学的な特徴こそが、左向き寝が消化器に優しいとされる最大の根拠です。
左側を下にして横たわると、胃袋が食道よりも低い位置に安定します。すると、溜まった胃酸や未消化の食べ物が物理的に食道へと逆流しにくくなり、逆流性食道炎特有の胸焼けや呑酸(酸っぱい液体が口に上がってくる現象)を強力に抑え込めます。夕食の時間が遅くなってしまい、胃の中にまだ食べ物が残っている状態で就寝せざるを得ない夜も、左を下にして寝ることで翌朝の胃もたれを大幅に軽減できます。
反対に右を下にして寝てしまうと、胃袋が食道より高い位置に持ち上がり、胃酸が噴門部に直接触れやすくなります。食道括約筋の締まりが弱まっている人や慢性的な胃腸不良を抱えている人は、まずは左向きの就寝姿勢を意識してみる価値が十分にあります。