自社の呼び方と同様に、頻繁に混乱を招くのが相手企業の呼び方である「貴社(きしゃ)」と「御社(おんしゃ)」の使い分けです。どちらも相手を敬う敬称(尊敬語)ですが、明確な使い分けのルールが存在します。
貴社と御社の使い分けの原則は、視覚で伝える「書き言葉(文語)」か、耳で伝える「話し言葉(口語)」かという違いです。
- 貴社(きしゃ):メール、履歴書、エントリーシート、職務経歴書、手紙、契約書などの「文章」で使用する。同音異義語(記者、汽車、帰社など)が多く耳で聞き取りにくいため、文書専用として定着。
- 御社(おんしゃ):対面での商談、電話対応、就活面接、オンラインミーティングなどの「口頭」で使用する。耳で聞いて直感的に敬意が伝わりやすい。
特に履歴書での貴社と御社の取り違えは、書類選考の段階で減点材料になりやすいポイントです。履歴書の志望動機欄に「御社の企業理念に惹かれ」と書いてしまうミスは、採用担当者に「文書作成の基礎が身についていない」という印象を与えます。書類上は必ず「貴社」と記載してください。
一方、就活面接での使い方では逆の現象に注意が必要です。面接官の前で緊張のあまり「貴社におかれましては」と発言してしまう学生がいますが、口頭では「御社」が正解です。また、学生時代にインターンやアルバイトを経験した就活生が、面接中に自分のアルバイト先や現在の立場を指して誤って「弊社」と言ってしまう失敗も少なくありません。就活生は企業に雇用された正規の代表者ではないため、自分の所属を語る際は「私の大学では」「アルバイト先の店舗では」と表現するのが適切です。