女優として頂点を極めつつあった1981年、原日出子さんはシングル『約束』で歌手としてもデビューを果たします。この楽曲は、作詞を竹内まりやさん、作曲を安部恭弘さんが手がけたという、当時としても極めて贅沢な布陣で制作されたシティポップの隠れた名作です。
甘く切ないメロディに寄り添う原さんの歌声は、過度なビブラートを排したストレートで透明感のあるウィスパーボイスが特徴的でした。当時のアイドル歌謡特有の派手な演出とは異なり、大人の女性へと背伸びする少女の揺れる心情を繊細に歌い上げています。
近年の世界的なシティポップ・昭和ポップス再評価の流れを受け、音楽ファンの間では「原日出子の『約束』は80年代女性ボーカルの隠れた最高峰」として再び脚光を浴びています。レコードジャケットに写る彼女の物憂げな視線とショートカットの佇まいは、アートワークとしての完成度も極めて高く、当時のカルチャーシーンにおける彼女のアイコン性を物語っています。