大学卒業後のキャリアにおいて、金子朋史氏が選んだ最初の進路は「僧侶」ではありませんでした。ここに彼の人物像を読み解く最大の鍵があります。朋史氏は20代の一定期間、大手正規輸入車ディーラーに営業マンとして勤務していました。
高級外車を扱うディーラーの営業職は、富裕層や社会的地位の高い顧客を相手にするため、極めて洗練されたビジネスマナー、対人心理の洞察力、そして高い営業スキルが求められます。朋史氏はそこでトップクラスの実績を上げ、ビジネスパーソンとしての荒波を経験しました。寺院という閉鎖的な世界の外に出て、一般社会の資本主義経済と顧客心理を肌で学んだ経験は、現在の寺院経営に極めて大きな強みをもたらしています。
民間企業での研鑽を経て実家へ戻った朋史氏は、副住職として寺の近代化を推し進めました。伝統的な檀家制度に依存するだけでなく、時代のニーズに即した「ペット供養」や霊園管理などの新規事業を展開。宗教法人としての公益性と持続可能な経営基盤を確立させ、現在は住職として確固たる地位を築いています。