二人の関係性を語る上で外せないのが、金沢の名門旅館「かぐらや」を舞台にした昼帯ドラマ『花嫁のれん』(東海テレビ制作・フジテレビ系、2010年〜2015年・全4シリーズ)です。羽田美智子演じる主人公・奈緒子と、津田寛治演じる夫・宗佑の夫婦像は、昼ドラ特有のドロドロとした愛憎劇とは一線を画す、温かくもユーモラスな人間賛歌として全シリーズ通じて熱狂的な支持を集めました。
宗佑の自由奔放でどこか頼りない一面を包み込む奈緒子の包容力、そして奈緒子を全身全霊で愛する宗佑の眼差しは、多くの視聴者に「理想の夫婦」として刷り込まれました。劇中で見せた二人の息の合ったアドリブや間合いは、単なる台本通りの芝居を超えた生々しい日常感を漂わせていたのです。
さらにこの虚構のリアリティに拍車をかけたのが、テレビ朝日系の看板シリーズ『警視庁捜査一課9係』(2006年開始)および後継作『特捜9』における共演歴です。津田寛治演じる野心家の刑事・村瀬健吾と、羽田美智子演じる芯の強い刑事・小宮山志保は、当初は反発し合いながらも徐々に絆を深め、2021年放送の『特捜9 season4』においてついに劇中結婚を果たしました。
「昼ドラで愛された名物夫婦」が、別の長寿刑事ドラマでも「十数年の歳月を経てついにゴールインした」という重層的な物語構造が、ドラマ共演者に対するネットの反応として「二人はプライベートでも結ばれているに違いない」という錯覚を決定づける要因となりました。