結論から明かすと、細木数子氏が亡くなった後に、本人の単独名義による書き下ろしの未発表遺作が出版された事実はありません。にもかかわらず、「細木数子の本は出版されたのか」という検索が後を絶たない背景には、3つの明確な要因が重なり合っています。
第1の要因は、晩年に療養生活へ入った際、出版関係者の間で「自らの波乱万丈な生涯を赤裸々に総括する最終回顧録(メモワール)を執筆しているのではないか」という観測が業界内で飛び交ったことです。関係者の証言によると、生前の細木氏は自らの人生哲学や政財界・芸能界との交友録について膨大なメモを残していたとされ、これが「死後に出版されるのではないか」という期待混じりの噂に発展しました。
第2の要因は、毎秋恒例の『六星占術によるあなたの運命』の出版サイクルです。毎年8月から9月にかけて翌年の運気本が大型書店にずらりと並ぶため、店先で表紙を目にした読者が「今年も細木数子の新刊が出たのか?」と誤認し、Web検索を行うケースが頻発しています。
そして第3の要因が、過去に世間を揺るがした暴露本や関連書籍の再燃です。没後、一部の週刊誌が「未発表の遺言状や新事実」といったセンセーショナルな見出しで特集を組んだことで、読者の記憶の中で「何らかの新しい本が書店に並んだのではないか」という混同が生じました。