クレソン(和名:オランダガラシ)がステーキの付け合わせとして定着した背景には、西洋料理における明確な機能的理由が存在します。クレソンの最大の特徴であるツンとした辛味の正体は、ワサビや大根にも含まれるイソチオシアネートの一種「シニグリン」です。この成分には消化液の分泌を促し、脂っこい肉料理の消化を助ける働きがあります。口内をさっぱりとリセットする清涼感だけでなく、胃腸への負担を和らげる合理的な組み合わせとして供されてきたのです。
さらに注目すべきは、野菜類の中でも群を抜く栄養の凝縮度です。強い抗酸化作用を持つβ-カロテンをはじめ、コラーゲンの生成を助けるビタミンC、骨の形成に不可欠なカルシウム、そして余分な塩分を排出するカリウムや鉄分が極めてバランスよく含まれています。油と一緒に摂取することで脂溶性ビタミン(β-カロテンやビタミンK)の吸収率が跳ね上がるため、オイルベースのドレッシングや肉料理と合わせる調理法は、栄養学的にも理にかなっています。