こうした幼児の失踪において、今なお語り継がれる奇跡的な事例がある。過去に大きな話題を呼んだ「山口県2歳児保護事案」だ。当時、わずか2歳児であった男児が山中で無事保護されたこの事件では、ボランティアの尾畠春夫氏による独自の経験に基づいた捜索アプローチが大きな功績を挙げた。
尾畠氏は「小さな子供は坂道を下るのではなく、本能的に上へ上へと登る習性がある」という見立てから、大人が捜索を見落としがちな山頂方向へと足を運び、発見に至った。2歳児の行動心理学において、恐怖や不安を感じた幼児が障害物を避けて上方へ移動する傾向が指摘されており、この教訓は現在の捜索プロトコルにも深く組み込まれている。