今でこそ「なりたい顔ナンバーワン」「誰もが憧れる魅惑の唇」の代名詞となった石原さんですが、かつてはその唇こそが彼女自身にとって最も深いコンプレックスでした。過去の特番インタビューや女性誌のロングインタビューにおいて、本人は次のような生の心情を吐露しています。
「昔は自分の唇が本当に嫌いで、分厚くて野暮ったいと感じてコンプレックスでしかなかった。写真に写るときも、どうにかして唇をすぼめたり、目立たないように隠そうとしていた」
周囲から「たらこ唇」とからかわれた経験や、少女時代の素朴なパブリックイメージに縛られていた石原さんに決定的な転換期が訪れたのは、23歳前後のニューヨークへの一人旅でした。それまで事務所や周囲のスタッフに衣装もメイクも決められていた環境から離れ、初めて「自分で何を着るか、どんな顔で生きるか」をゼロから選択した経験が、彼女の美意識を劇的に覚醒させます。
「メイクを変えるだけで『私』はもっと楽しめる」——そう確信した彼女は、毎夜のように自宅の鏡の前で何時間もリップを引き直し、夜中の2時や3時まで研究を重ねたといいます。コンプレックスだった上唇の厚みを単に隠すのではなく、光と影、そして質感の違いを使い分けて洗練された知性へと昇華させるセルフプロデュースを自らの手で確立したのです。弱点から逃げるのではなく、誰よりも深く観察して向き合ったからこそ、あの唯一無二のチャームポイントが誕生しました。