いまや日本の映画産業において、そのキャスティングの動向は興行収入の行方を左右するほどの重みを持つ。とりわけ東宝が配給を手がける全国規模の大作映画への抜擢は、名実ともにトップランナーへと駆け上がった証左と言える。
なかでも高い注目を集めているのが、人間の業と心理的駆け引きを描き出す本格サスペンス映画への挑戦だ。静寂の中に潜む狂気、張り詰めた会話の裏に隠された嘘――。逃げ場のない密室劇や極限状態の心理描写において、観客の呼吸すらコントロールしてしまう緊張感あふれる演技は、並み居るベテラン俳優陣をも唸らせている。