2012年秋、当時23歳だった内村航平氏の結婚は、体操界のみならず日本中を沸かせるビッグニュースとなった。お相手となった千穂さんは、同じ体操経験者であり、学生時代からの知り合いとして王者を陰で支える存在と目されていた。第一子、第二子の誕生と続き、メディアの前で見せる姿は順風満帆な「理想のファミリー」そのものだった。
しかし、トップアスリートの生活リズムは過酷を極める。毎日数時間に及ぶ限界を超えたトレーニング、ミリ単位の感覚に神経を研ぎ澄ます日常。家庭という空間が、王者にとっての単なる休息の場であったのか、それとも別の緊張感を生む場となっていたのかは、当事者にしかわからない繊細な領域だった。