問題の舞台となったのは、大阪を拠点に老舗料亭として圧倒的なブランド力を誇っていた高級料亭だ。賞味期限の改ざんや客が残した料理の再提供など、業界を揺るがす相次ぐ食品表示偽装問題が発覚し、世間の激しい批判に晒された。
事態の収拾を図るべく開かれた謝罪会見の壇上に立ったのは、当時の社長であった湯木敏幸氏。だが、報道陣の鋭い質問に詰まる息子の背後で、母であり女将の湯木佐知子氏が「頭が真っ白になったといいなさい」「声が小さい」と小声でアドバイスを送り続けていた。集まったマイクはその指示をバッチリ拾い上げ、全国へ生中継されてしまう。誠実さをアピールすべき会見が、皮肉にも親子の「操り人形劇」として茶の間に届いた瞬間だった。