茶色い蛇をめぐっては、昔からの言い伝えやインターネット上の断片的な情報によって、いくつかの根深い誤解が流布しています。その代表格がヒバカリ毒性に関する都市伝説です。
ヒバカリという名は、古く「噛まれたら命がその日ばかり」という意味から名付けられました。この民間伝承を鵜呑みにして「首に白や黄色の線がある茶色い蛇は即死級の猛毒」と信じ込んでいる人が今なお少なくありません。しかし、現代の爬虫類学においてヒバカリは完全に無毒であることが証明されています。性質も非常に温厚で、素手で触れても威嚇音を出すことすら稀です。迷信によって無益に殺傷されるケースが後を絶ちませんが、まったく危険性はありません。
また、シマヘビ茶色のバリエーションによる誤認も多発しています。「シマヘビ=黒い4本縞」というイメージが定着していますが、幼蛇の段階では縞模様がはっきりせず、茶褐色の横帯(マムシに似た段々の模様)が目立ちます。さらに成蛇であっても、遺伝的要因で縦縞が消失した「無斑型(むはんがた)」と呼ばれる茶褐色一色の個体が存在します。動きが極めて俊敏で、危険を感じると尾を小刻みに震わせて草を鳴らす習性があるため、マムシと勘違いされて駆除業者に相談が寄せられる典型例となっています。
さらに、森林や高原の別荘地、石垣周辺でよく目撃されるジムグリ特徴も見逃せません。「地を潜る」という名の通り、頭部と首の境目がなく先端が丸みを帯びた流線型をしています。体色は赤褐色から小豆色で、非常に美しい艶を持っています。毒々しい赤みを帯びているため「新種の毒蛇か」と騒がれることがありますが、こちらも無毒で、人間に対して牙を剥くことは原則としてありません。
「頭が三角形ならすべて毒蛇」という言説も危険な思い込みです。アオダイショウやシマヘビなどの無毒蛇であっても、外敵に襲われてパニックになると、顎を大きく広げて頭部を平たく押しつぶし、自らを三角形に見せて威嚇します。頭の形だけで即断せず、胴体の太さや模様を複合的に観察することが重要です。