現代のクリエイター環境において最も議論を呼んでいるのが、iPadやペンタブレットを用いた「デジタル作画はdrawなのか、それともpaintなのか?」という疑問です。ネット上の英語解説フォーラムでも意見が割れがちな論点ですが、実際のスタジオ現場や海外クリエイターの間では、明確な棲み分けが確立されています。
デジタル環境における判断基準も、基本はアナログと同様に「線の構築」か「色の塗布」かに帰着します。ラフ画を描く、キャラクターの輪郭線をクリンナップする(線画作業)段階は、Apple Pencilなどのスタイラスペンを用いていても "drawing" と呼ばれます。一方、厚塗りブラシや水彩ブラシを使ってグラデーションを作り、陰影や質感をレンダリングしていく工程は "painting" または "coloring" と呼ばれます。
「私はiPadで絵を描くのが好きです」と表現する場合、工程全体を包括してスタイリッシュに伝えたいなら、動詞drawやpaintにとどまらず、以下のような言い換え表現を使うのがプロフェッショナルな現場では通例です。
- "I create digital art on my iPad."(iPadでデジタルアートを制作しています)
- "I do digital illustration."(デジタルイラストを手がけています)
- "I enjoy digital painting."(デジタルペイント/厚塗りを楽しんでいます)
動詞のillustrateにも注意が必要です。illustrateは単に「絵を描く」ことではなく、「文章や概念を分かりやすく視覚化・説明する」という役割を帯びた動詞です。そのため、個人的なアートワークに対して無邪気に "I illustrated a cat." と言うと、「猫の図解・挿絵を担当した」というニュアンスに聞こえることがあります。個人の創作であれば "I drew a picture of a cat." とする方が意図が正確に伝わります。