なぜ本作は、厳しい倫理規定を持つ『週刊少年ジャンプ』において、乳首の描写や透け表現、下着の緻密な質感描写といった限界スレスレ(時に完全突破)の表現を掲載し続けることができたのでしょうか。その背景には、作者の強烈な作家性と当時のジャンプ編集部の特殊な力学が存在していました。
東京学芸大学教育学部出身で元数学講師という異色の経歴を持つ江川達也氏は、人体デッサンやパースペクティブに対して病的なまでの正確さを追求するリアリズム志向の漫画家でした。ヒロインの河合伊代菜(かわいいよな)をはじめとする女性キャラクターを描く際、記号的なアニメ絵ではなく、陰影、肉感、皮膚の柔らかさ、布地のテンションまで徹底的に計算し尽くして描画されていました。
江川氏が当時の特番インタビューや回想録で明かしているところによると、「ギャグ漫画のフォーマットを借りることで、編集部の検閲の目を欺きつつギリギリを攻めた」と語られています。シリアスな青年誌的エロティシズムではなく、魔法アイテムの暴走やドタバタ劇のオチとして描くことで、当時の編集部も「ギャグの勢い」として容認せざるを得ない構造を作り出していたのです。