韓国語でコーヒーを意味する単語は、ハングル表記で「커피」と書き、カナ転写すると一般的に「コピ」と表記されます。しかし、日本人旅行者が発声する「コピ」が現地で聞き取ってもらえない最大の要因は、韓国語における母音「ㅓ(オ)」と「ㅗ(オ)」の厳密な区別にあります。
日本語には母音の「オ」が1つしかありませんが、韓国語には明確に異なる2つの「オ」が存在します。コーヒーを意味する「커피」の「커」は、口を縦に大きく開けて喉の奥から発音する母音「ㅓ(オ)」です。一方、日本人が普段通りに口先をすぼめて「コ」と発音すると、韓国人の耳には「ㅗ(オ)」の母音、すなわち「코피(鼻血)」として認識されてしまいます。
つまり、カウンターで自信満々に日本語アクセントで「コピ ジュセヨ」と発音すると、バリスタの耳には唐突に「鼻血をください」と聞こえてしまうのです。これが、注文がスムーズに通らない最大のカラクリです。
さらに、後半の「피」は息を強く吐き出しながら発音する「激音(ㅍ)」です。英語の「coffee」に由来する外来語であるため、日本語のように平板に「コピ」と呼ぶのではなく、「口を大きめに開けて『コ』と発音し、息を鋭く吹き出すように『ピ』と破裂させる」のが、ネイティブに一発で伝わる発音のコツです。