Toshlを支配下に置いた構造は、典型的な「カルト型搾取ビジネス」の極致でした。ピラミッドの頂点に君臨していたのが「癒やしの音楽プロデューサー」を自称するMASAYAであり、その忠実な実行役としてToshlを外部から遮断したのが元妻の守谷香です。
彼らが用いた手法は、心理学でいう「ダブルバインド(二重拘束)」と「関係性の剥奪」でした。まず、Toshlの実母や兄、X JAPANのメンバーを「お前の魂を汚す悪魔」と徹底的に敵視させ、携帯電話のアドレス帳を消去させて通信を監視。外部との接点を完全に絶ち、情報源をMASAYAと守谷香の言葉だけに限定しました。
さらに狡猾だったのは、自己啓発セミナーの仮面を被っていた点です。宗教色を前面に出さず、「心を癒やす」「自然に還る」「真の自分を見つける」といった耳当たりの良いニューエイジ思想を掲げることで、社会的な警戒心を巧みに解除させました。
しかしその実態は、Toshlを「広告塔兼ATM」として酷使する集団生活でした。守谷香は表向きはToshlの良き理解者・妻を演じながら、実際にはMASAYAと男女の関係にあり、那須の豪邸で贅沢な暮らしを享受。一方のToshlは別棟で粗末な食事と睡眠不足を強いられ、暴力の恐怖に怯えながら全国を歌い歩かされるという、完全な主従・搾取関係が築き上げられていたのです。