ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「在宅看取りは家族が24時間介護漬けになり、共倒れになる」「家族に覚悟や医療知識がないと無理」という誤解が根強く残っています。しかし、萬田氏が実践する現場の実際は、そうした世間のイメージとは大きく異なります。
代表的な盲点は以下の3点です。
- 「点滴をしない=見殺し」という誤解:死が近づいた身体は水分を処理する能力が落ちています。点滴を止めたり減らしたりすることは餓死させることではなく、痰がらみや肺水腫による「溺れるような苦痛」を防ぎ、安らかな呼吸を保つための高度な医療判断です。
- 「家族がすべてを背負う」という誤解:訪問診療医だけでなく、訪問看護師、ケアマネジャー、訪問介護ヘルパー、入浴車がひとつのチームとなり、介護作業の大半を分担します。家族の役割は「医療行為」ではなく「そばにいて手を握ること」です。
- 「急変したら救急車を呼ぶ」という誤解:在宅緩和ケアを受けている場合、119番通報をして救急車を呼ぶと、心臓マッサージや挿管などの意図しない過度な蘇生処置が施され、病院に逆戻りしてしまいます。連絡すべき先は救急隊ではなく、24時間対応の診療所いっぽです。