「フライパンで焼くと生臭さが際立つ」という不満に対しても、明確な科学的理由が存在します。塩鯖の表面には、酸化した脂やドリップ由来の揮発性塩基物質「トリメチルアミン」が付着しています。密閉された空間でこれを焼き始めると、臭み成分が魚の身に再吸着してしまうためです。
プロの現場で徹底されている塩サバの焼き方における生臭い対策は、以下の2ステップで完結します。
第一に、焼く10分前に切り身全体へ酒を大さじ1程度振りかける処理です。アルコールが揮発する際に臭み成分を抱き込んで一緒に蒸発する「共沸効果」が働き、同時に身の保水力を高めてふっくら感を底上げします。
第二に、加熱直前にキッチンペーパーで表面の水分を徹底的に吸い取ることです。表面の余分な水分とドリップを完全に除去することで、皮目が水っぽくならず、加熱時に一気にメイラード反応(香ばしい焼き目)を引き出す土台が整います。