製品選びと同じくらい重要なのが、設置に伴う力学的・法的なリスクマネジメントです。特に高層マンションや木造アパートに住んでいる場合、誤った設置は階下住民との深刻な騒音トラブルに発展しかねません。
最悪のシナリオは、洗濯機かさ上げ台が倒れる危険性と本体の脱落事故です。かさ上げ台の上面にあるリブ(立ち上がり壁)の高さが数ミリしかない場合、偏芯脱水(洗濯物が片寄った状態での回転)で生じる遠心力によって、洗濯機の脚が徐々にズレていき、最終的に台から滑り落ちることがあります。80kg超の塊が落下した衝撃で給水パイプが破損すれば、数百万円規模の階下浸水損害賠償事件に直結します。設置時は必ず四隅の水平器チェックを行い、本体が0.1度も傾いていないことを確認しなければなりません。
また、借主を悩ませるのが洗濯機かさ上げの賃貸退去時における原状回復トラブルです。防水パンがないクッションフロア直置きの物件にかさ上げ台を設置すると、4つの小さなブロックに洗濯機全体の加重が集中し、床材に深いくぼみや黒いゴム移行染みが残ってしまいます。退去時に高額な床張り替え費用を請求されないためには、以下の対策が必須です。
- 保護プレートの併用:かさ上げ台の下に、硬質ポリカーボネート製プレート(冷蔵庫下用マットと同素材)を敷き、点加重を面に分散させる。
- 非移行性ゴムの確認:床材に色が移らない「非移行性エラストマー」を採用している製品を選択する。
- 自力設置を避ける判断:重量級ドラム式を大人の男性2名で持ち上げようとして腰を痛めたり、周囲の壁にぶつけて穴を開ける事故が頻発しています。洗濯機かさ上げ設置の業者費用は、くらしのマーケット等の専門マッチングや家電量販店の追加オプションで5,000円〜15,000円程度が相場です。プロの保険付き施工を利用することは、長期的な安全を買う賢明な投資と言えます。