英語圏で広く口承されてきた伝承童謡の総称であるマザーグースですが、現地イギリスでは古くから「ナーサリーライム(Nursery Rhymes)」と呼ばれて親しまれてきました。その起源と歴史を紐解くと、17世紀フランスの作家シャルル・ペローが著した『がちょうおばさんの昔話(仏題:Contes de ma mère l'Oye)』にたどり着きます。
18世紀中頃、この「がちょうおばさん(マザーグース)」の名称がイギリスへ渡り、庶民の間で歌い継がれていた無名の童謡集のタイトルとして採用されたことで、一気に定着しました。元々は子守唄や手遊び歌にとどまらず、居酒屋の猥歌、労働歌、権力者への当てこすりなど、雑多なストリートカルチャーを吸収しながら形作られた点に、この物語群の特異性があります。