大阪環状線の高架下から網の目のように伸びる路地。無数の赤提灯がひしめくこの街は、安くて旨い店にシビアな舌を持つ呑兵衛たちが夜な夜な集う場所だ。そんな大衆居酒屋のメッカにおいて、有限会社グッドファットを率いる代表の西田進一氏が仕掛けた空間づくりは極めて先鋭的である。単に料理を並べるのではなく、スタッフの活気、焼き場のライブ感、そして客同士の距離感までもが一つのエンターテインメントとして設計されているのだ。
長引く原材料高や人手不足に喘ぐ昨今の外食産業界において、同店が連日満席を維持している事実は驚嘆に値する。計算し尽くされたオペレーションと、それを客に悟らせない泥臭いもてなし。暖簾の向こう側に広がるのは、日々の疲れを一瞬で忘れさせてくれる、どこか懐かしくも新しい熱狂の渦である。