スクリーン越しに完璧な漆黒や艶やかなアッシュブラウンを保ち続ける40代50代女優のヘアケア現在を取材すると、一般的なケア周期とは大きく異なる現場の基準が見えてきます。一般女性の白髪染め頻度が平均して1〜2か月に1回であるのに対し、テレビドラマや映画の撮影に入っている女優の白髪染め頻度は、およそ2週間から3週間に1回がスタンダードです。ハイビジョンカメラの接写に耐えうる生え際をキープするため、根元がわずか数ミリ伸びた段階でサロンに通い、専属カラーリストによる精密なリタッチを受けています。
それだけ高頻度で染めながら、なぜ彼女たちの髪は傷まずに豊かなボリュームとハリを保ち続けられるのでしょうか。大手芸能プロダクション御用達の南青山サロン関係者は次のように証言します。「一般的なアルカリカラー剤を毎回全体にベタ塗りすることはまずありません。頭皮に薬剤を一切付けない『ゼロテク(コーム塗布技術)』を徹底し、頭皮環境へのダメージを最小限に抑えています。さらに根元は低刺激なオーガニック系や微アルカリカラー、毛先はトリートメント成分配合のクリアマニキュアで保護するなど、1頭の中で何種類もの薬剤を塗り分けています」
そもそも女優に白髪が少ない理由について、「特別な遺伝子のおかげ」と片付けるのは早計です。毛髪科学のデータによると、休止状態にあるメラノサイト(色素形成細胞)やチロシンの不足が原因で一時的に生じた白髪が、再び黒髪に戻る確率は約2割とされています。残りの約8割は加齢や酸化ストレスによってメラノサイト自体が消失してしまう不可逆的なものです。芸能界の第一線に立つ女優たちは、このメカニズムを熟知した専属ドクターや毛髪診断士の指導のもと、幹細胞培養上清液を用いた頭皮導入セラピーや抗酸化点滴をいち早く導入し、メラノサイトが完全に消失する前の頭皮環境維持に多額の自己投資を行っています。