年齢を重ねることは、役者にとって衰えではない。むしろ、かけがえのない最大の武器だ。その真理を、彼のたたずまい自体が力強く体現している。かつて見せた野性味あふれる力強さは影を潜めるどころか、人生の経験値を削り出したかのような多角的な深みへと変貌を遂げた。
近年の作品で見せる演技には、余計な肩の力が抜けた「しなやかさ」が宿る。セリフの行間にある沈黙や、ふとした視線の動き一つに、キャラクターが歩んできた時間がにじみ出る。50代という成熟期を迎えた今、肉体の力強さと心の機微を同時に表現できる稀有な存在として、第一線で強い光を放ち続けている。