1972年にリリースされた大ヒット曲「結婚しようよ」は、日本の音楽市場における決定的なターニングポイントとなった。それまでのフォークソングといえば、政治的な主張や社会への怒りを歌うアンダーグラウンドな反戦歌という色彩が濃かった。しかし、彼が提示したのは、個人の身近な日常やささやかな愛情を、明るいポップなアレンジに乗せて歌うという全く新しいスタイルだった。
この楽曲の爆発的なヒットは、若者文化のトレンドを一変させた。長髪にジーンズ、アコースティックギターを弾き語るスタイルは瞬く間に全国へ波及。暗い反抗の手段だった音楽を、誰もが口ずさめるカジュアルで爽快なカルチャーへと塗り替えたのだ。名曲誕生の裏には、従来のジャンルの壁を打ち破り、自分たちの時代の言葉で歌いたいという強い衝動が存在していた。