舞台の制作発表やゲネプロで松本さんの変貌した姿が公開された際、SNSやネット掲示板では驚きと動揺が広がりました。「顎のラインが別人」「一瞬誰かわからなかった」「痩せすぎてやつれて見える」といった投稿が相次ぎ、一部では健康状態を危惧する声すら上がったほどです。
しかし、劇場に足を運んだ観客や演劇関係者からの反応は全く異なっていました。客席から目撃されたのは、2時間以上の過酷なステージを全力で駆け抜け、劇場の隅々まで明瞭に通る強靭な声を響かせる松本さんの圧倒的なエネルギーでした。舞台を観劇したベテラン演劇ライターは当時の様子を次のように振り返っています。
「写真の切り抜きだけを見ると頬がこけたように映る瞬間もありましたが、生の舞台を観ればそれが錯覚であることは明白でした。首筋や背中には無駄のない筋肉がびっしりと張り巡らされ、野田戯曲の複雑な動線を息一つ切らさず演じ切るスタミナがあった。あれは病的な激痩せなどではなく、極限まで磨き上げられたアスリートの身体そのものでした」
ネット上の静止画だけを見て生じた「激痩せ不安」と、現場で躍動する生の肉体を目撃した観客の「感嘆」の間には、明確な温度差が存在していたのです。