本作がカルト的な人気を獲得した最大の要因は、キャラクターの再現度とキャスト陣の卓越したアンサンブルにあります。ドラマ版を支えた『これは経費で落ちません!』の主要キャスト一覧を振り返ると、放送以降の飛躍がいかに目覚ましいものであったかが浮き彫りになります。
主人公・森若沙名子を演じた多部未華子は、感情を過度に表に出さない几帳面な経理女子という難役を、微細な視線の揺らぎと凛とした佇まいで完璧に具現化しました。私生活での環境変化や母となった後も、卓越した演技力でトップ女優の座を不動のものとしています。
森若さんに真っ直ぐな好意を寄せ、氷のような心を溶かしていく営業部員・山田太陽を演じた重岡大毅(WEST.)は、持ち前の天真爛漫な笑顔と泥臭い誠実さで視聴者の心を掴みました。その後もシリアスからコメディまで幅広い作品で主演を張り、役者としての評価を急上昇させています。
さらに、経理部の愛され後輩・佐々木真夕役を務めた伊藤沙莉は、いまや朝ドラヒロインを経験する日本屈指の主演女優へと駆け上がりました。先輩社員・田倉勇太郎役の平山浩行、部長の新発田英輝役の吹越満、営業部のエース・山崎柊一役の桐山漣、そして秘書課の有本マリナ役のベッキーなど、脇を固めるバイプレイヤーたちの掛け合いは一瞬の無駄もない完成度を誇っていました。それぞれのキャリアがトップステージに移行したからこそ、奇跡的なキャスト全員の拘束時間を再び揃える難易度が跳ね上がったという皮肉な現実も存在します。