劇場版長編として公開された『えいがのおそ松さん』において、福山潤の演技はさらなる進化を遂げた。作中で描かれたのは、現在の捻くれた性格とは似ても似つかない、無理をして明るく振る舞おうとする高校時代の一松の姿だ。
周囲から浮かないように必死でテンションを作り、痛々しいほど空回りする10代特有の葛藤。福山は、声のピッチを意図的に不安定に揺らし、青年の未熟さと切実さを生々しく表現してみせた。現在の「完成された低音」と、過去の「張り詰めた声」の対比。キャラクターのバックボーンを声の質感だけで観客に納得させるその技量は、日本のアニメーション表現における一つの到達点として高く評価されている。