再開発の槌音が響く渋谷の街にあって、渋谷区道玄坂の喧騒から一本入った路地には、変わらぬ佇まいを守る名店がある。店主の林繁氏が2003年に創業したこの店は、オープン直後から瞬く間に首都圏の麺好きの間で話題となった。派手なチェーン展開や多角化には目もくれず、自らの目が届くカウンター越しに一杯ずつ丁寧に仕上げる姿勢は今も全くブレていない。
職人としての林氏の美学は、無駄口を利かず黙々と調理に没頭する所作の端々に滲み出ている。過剰な接客パフォーマンスやSNS映えを狙った奇抜なトッピングとは無縁のストイックさ。しかし、丼を受け取った客への配慮や温かみは、研ぎ澄まされた一杯の温度感や盛り付けの美しさに雄弁に語られている。変遷の激しいこの地で、愚直なまでに味と向き合い続ける姿はまさに職人の鑑と言えるだろう。