トリドールの歴史を紐解くと、拠点の変遷そのものが同社の成長ステージを物語っています。1985年に兵庫県加古川市で創業したわずか9坪の焼鳥居酒屋「トリドール三番館」からスタートし、丸亀製麺の成功を経て、2010年代には兵庫県神戸市中央区(神戸三宮)に本社を構えていました。
関西屈指のビジネス拠点であった神戸から、2019年9月に東京・渋谷ソラスタへ完全移転を決断した背景には、明確な経営構造の転換がありました。
当時、報道陣向けの会見やIR資料で強調された移転理由は主に以下の3点です。
第一に、グローバル人材およびDX専門人材の獲得です。世界的外食企業へ飛躍するためには、高度なマーケティング力や海外M&Aを主導できるスペシャリストの採用が不可欠であり、情報と人材が集積する東京・渋谷への移転は必然の選択でした。
第二に、多様なワークスタイルとイノベーションの創出です。新オフィスではABW(Activity Based Working)を全面的に導入し、部署の垣根を超えた迅速な意思決定を可能にする空間設計がなされました。
第三に、ブランド価値の再定義です。単なる関西発の外食チェーンから、世界水準のフードインフラ企業へとコーポレートイメージを刷新する狙いがありました。