二人の本格的な初共演となった2019年の映画『屍人荘の殺人』を覚えているだろうか。風変わりな女子大生探偵を演じた浜辺美波と、彼女に振り回されながらも事件の核心へと迫る青年を演じた神木隆之介。東宝が配給を手がけたこのミステリー作で見せたテンポの良い掛け合いは、すでに将来の黄金タッグ誕生を予感させるに十分な輝きを放っていた。
そのコンビネーションが決定的な国民的評価へと結実したのが、NHKの連続テレビ小説『らんまん』だ。植物学者・牧野富太郎をモデルにした主人公・槙野万太郎と、その夢をひたむきに支え続けた妻・寿恵子。半年間に及ぶ過酷な撮影スケジュールを乗り越え、実在の人物が持つ人生の厚みと夫婦の深い愛情をリアルに描ききった二人の演技は、視聴者の心を強く揺さぶった。
「カメラが回っていない瞬間でも、二人の間には言葉を必要としない合図のようなリズムがあった」と、当時のドラマ制作デスクは振り返る。若手屈指の演技派としてキャリアを重ねてきた二人が、役者としての成熟期に見せた見事なアンサンブルだった。