知らずに贈るとトラブル必至の裏の顔を持つ代表格が、ハナズオウ(花蘇芳)だ。春に鮮やかな赤紫色の小花を咲かせるこの低木は、キリストを銀貨30枚で売り払ったイスカリオテのユダが首を吊った木(ユダの木)という伝説に由来し、「裏切り」「不信仰」「疑惑」という強烈な花言葉を背負わされている。春先の庭木やブーケとして見栄えが良いだけに、意味を知る相手には無言の告発と受け取られかねない。
鐘形の美しい花が整然と並ぶジギタリスも注意が必要だ。古くから強心剤の原料として利用されてきた一方で、過剰摂取は死を招く猛毒を持つ。「不誠実」「偽りの愛」という花言葉は、その薬と毒の二面性、そしてキツネの手袋(Foxglove)と呼ばれる妖しい佇まいに起因する。さらに、晩夏に妖艶な朱色の花を咲かせるキツネノカミソリも「偽りの誓い」「妖艶」といった言葉を持つ。葉を落とした後に突如として花首だけを伸ばす異様な生態が、狐に化かされたような感覚を呼び起こすためだ。