和菓子の世界において、老舗製餡所のおすすめとして専門家の間でも頻繁に名前が挙がる丹波製餡所。その代名詞となっているのが、極上の大粒品種を用いた丹波大納言小豆の粒あんと、舌触りを極限までなめらかに仕上げた丹波大納言のこしあんです。兵庫・京都の丹波地方で育まれる丹波大納言小豆は、皮が薄く煮崩れしにくい一方で、熱の通し加減ひとつで香りの立ち方が劇的に変化する非常に繊細な穀物です。
同所が貫く丹波大納言小豆の製法へのこだわりは、小豆の持つ糖分と風味を無理に砂糖で覆い隠さない「後味の透明感」に集約されます。一般的な製餡プロセスでは効率を重視して高圧蒸気釜で一気に豆を柔らかくすることが多い中、豆の状態や当日の気温・湿度に応じて浸漬時間や渋切りの回数を微調整します。職人が五感を研ぎ澄ませて灰汁(アク)だけを丁寧に取り除き、小豆本来の芳醇なコクを残す技術こそが、プロを唸らせる最大の要因です。
実際に、素材の味に厳しい和菓子職人たちからも「豆の粒立ちが美しく、炊き上がりの香りに雑味がない」と評されています。過度な甘さに頼らず小豆の豊かな余韻で勝負する姿勢が、一過性のブームに左右されない確固たる地位を築いています。