ネット上の掲示板やSNSでは、時折「かつての大スターが仙台のビジネスホテル暮らしとは都落ちではないか」「晩年が悲惨だ」といった心ないコメントが見受けられます。しかし、これはシニア世代の資産管理と精神的自立に対する決定的な誤解に基づいています。
都はるみは半世紀以上にわたりミリオンセラーを連発した国民的歌手であり、カラオケ歌唱印税をはじめとする権利関係の基盤は強固です。矢崎滋も長年CM契約や舞台の主軸を務めたトップ俳優であり、経済的困窮によってホテル暮らしを余儀なくされているわけではありません。
彼らがホテル暮らしを選んだ本質的な理由は、「所有からの解放」にあります。豪邸や別荘を維持し、使用人を雇い、名声にすがり続ける生き方は、時として老いた心身に過大な負荷を与えます。不要な家具や不動産を整理し、スーツケース数個に思い出を詰め込んで暮らすスタイルは、現代のシニア層が目指す「持たない贅沢(ダウンサイジング)」の究極形といえるでしょう。