ネット検索で「親子の木 倒れた」という不穏なワードを目にして不安を抱く旅行者は少なくありません。結論から言えば、2026年現在も親子の木は完全に倒れてはおらず、丘の上に3本揃って佇んでいます。
では、なぜこのような噂が定着してしまったのでしょうか。地元関係者の証言や記録を辿ると、2つの大きな要因が浮かび上がります。
第一の理由は、過去の強風・暴風雨による枝折れ被害です。2010年代後半から2020年にかけて北海道を襲った猛烈な低気圧の影響で、中央に立つ一番小さな「子ども」のカシワの木が大きな枝折れ被害に見舞われました。かつてのようなふっくらとした樹形から細身のシルエットへと変貌したため、「木が失われてしまった」と誤解した訪問者の声がSNS上で拡散された経緯があります。
第二の理由は、美瑛町内で発生した他の有名樹木の伐採事案との混同です。美瑛では2016年、観光客による農地無断立ち入りに耐えかねた農家が苦渋の決断として「哲学の木」を伐倒した歴史があります。また「マイルドセブンの丘」のカラマツ林も樹木の寿命や倒木リスクから一部伐採されました。これらのニュースが記憶の中で混ざり合い、「親子の木も倒されたのではないか」という誤情報につながったと考えられます。
現在の親子の木は、厳しい北国の風雪に耐え抜いた傷跡を抱えながらも、力強く生命をつないでいます。完璧な左右対称ではないその姿は、風雪を共に乗り越えてきた家族の絆を思わせ、かえって深みのある情景として多くの共感を呼んでいます。