慶應義塾幼稚舎を目指す保護者や教育関係者の間で、長年議論の的となってきたのが「制服の有無」です。ネットの掲示板や知恵袋などでは、「胸にペンマークの付いたブレザーを着た子どもを見かけた」「幼児教室の報告で男子新入生が制服姿で挨拶に来た」といった目撃談が定期的に投稿されます。しかし、取材および公式発表資料によると、慶應義塾幼稚舎(渋谷区恵比寿)に指定の通学制服は一切導入されていません。
この根強い誤解が生じる背景には、主に2つの明確な要因が存在します。
第1の要因は、2013年に開校した系列校「慶應義塾横浜初等部」との混同です。横浜初等部では、胸元にペンマークをあしらった気品ある濃紺のブレザーとスラックス・スカートが正式な制服として採用されています。同じ慶應義塾の一貫教育校であるため、メディアやお受験情報サイトで「慶應の小学生=制服姿」というビジュアルイメージが定着し、幼稚舎にも制服があると錯覚してしまうケースが多発しているのです。
第2の要因は、幼稚舎の児童が身につける「指定制帽」と「式典用スーツ」の存在です。幼稚舎生は私服通学でありながら、通学時には慶應の象徴であるペンマークが輝く指定の帽子を必ず着用します。さらに、入学式や記念行事などの特別な日には、保護者が仕立てた濃紺のジャケットとハーフパンツ・スカートを着用して登下校するため、その姿を目にした第三者が「あれが幼稚舎の正規制服だ」と受け取ってしまう構図があります。