「退去費用を浮かせたい一心で100均パテを塗りたくった結果、立ち会い検査で一瞬で見抜かれ、壁一面分のクロス張り替え費用を請求された」という体験談は、賃貸トラブルの現場で日常茶飯事となっています。なぜ、肉眼ではそれなりに塞がったように見える補修が、プロの査定員には簡単に見破られてしまうのでしょうか。
賃貸退去時に壁穴修理バレる理由の筆頭に挙げられるのが、「パテの肉痩せによる段差」と「周囲クロスとの色・テクスチャの乖離」です。100円ショップで販売されている壁穴修理パテ100均製品の多くはアクリル系樹脂を主成分としており、乾燥する過程で水分が蒸発してわずかに体積が収縮(肉痩せ)します。施工直後は平らに見えても、完全に乾くと中央部が窪み、斜めから光が当たった瞬間にくっきりとした影を生み出してしまうのです。
さらに、室内の壁紙は経年劣化や紫外線、照明の熱によって微妙に変色しています。ダイソーやセリアの真っ白な補修剤を充填すると、そこだけが不自然な「真新しい白」として浮き上がります。プロの原状回復査定員は、正面から直視するだけでなく、窓からの自然光やスマートフォンのライトを壁に斜めから当てて凹凸をチェックするため、素人のパテ埋め痕は隠しようがありません。
結果として、賃貸退去費用壁の穴に関する請求は、穴の部分的な補修費にとどまらず、「下地補修+壁一面分のクロス張り替え」として一気に跳ね上がることになります。隠すために行った行為が、かえって自己負担額を膨らませる最大のトリガーとなっているのが実情です。