住み慣れた自宅で最期を迎えたいという希望を叶える在宅医療や、ホスピス・緩和ケア病棟での療養においては、家族と多職種連携チーム(医師、訪問看護師、ケアマネジャーなど)との協力体制が不可欠です。ここで重要なのは、家族が「医療従事者の代わり」になろうと背負い込みすぎないことです。
在宅療養における家族の本来の役割は、医療行為を行うことではなく、「家族として寄り添い、本人の好む環境を整えること」にあります。痛みの訴えや呼吸の苦しさを観察し、我慢させずに早めに医療者へ連絡して鎮痛薬や医療用麻薬の調整を仰ぐことが、結果として患者の平穏を守る最短ルートとなります。
日々の過ごし方としては、本人が好きだった音楽を小さな音で流す、お気に入りのアロマを香らせる、家族の思い出のアルバムを一緒に眺めるなど、五感をリラックスさせる空間づくりが適しています。「普段通りの空気感」を保つことこそが、患者にとって最大の精神的支えとなります。