コンテンポラリー(Contemporary)とは本来、「現代の」「同時代の」を意味する言葉です。つまり、コンテンポラリーダンスの特徴と定義を厳密に突き詰めると、「特定のステップや振付のメソッドを指す名称ではなく、今この時代を生きる人間が、既存の枠組みにとらわれず身体を用いて行う表現の総称」という着地点に行き着きます。
バレエのようにトゥシューズを履いてターンアウト(股関節を開く姿勢)を維持する決まりもなければ、ヒップホップのように特定の音楽ジャンルに同期する義務もありません。無音のなかで息遣いだけを響かせる舞台もあれば、日常会話をつぶやきながら歩き回るだけの作品、さらにはテクノロジーを駆使したプロジェクションマッピングと肉体を同期させる試みまで、すべてがコンテンポラリーダンスの領域に含まれます。
表現の現場で多用される手法のひとつに、即興表現とコンタクト・インプロヴィゼーションがあります。これは1970年代にアメリカの振付家スティーヴ・パクストンらが創始した技法で、あらかじめ決められた振付をなぞるのではなく、相手の身体に触れた感覚、体重の預け合い、床との摩擦や重力の変化をリアルタイムで感知しながら即興で動きを紡ぎ出していくアプローチです。演出家の指示通りに動く「操り人形」としてのダンサーではなく、ダンサー自身の知覚や反射そのものが作品の骨格となる点に、この表現の独自性があります。