消費カロリーだけで見れば走るほうが有利に見えますが、有酸素運動ダイエットの本質である「脂肪燃焼効率の理由」を深掘りすると、単純に走ればよいとは言い切れない身体の防衛反応が浮き彫りになります。
運動時、私たちの体内では「糖質」と「脂質」がハイブリッドでエネルギー源として使われています。運動強度が上がれば上がるほど、身体は即効性のあるエネルギーを求め、筋肉中のグリコーゲン(糖質)を優先的に消費します。逆に、息が上がらない程度の低〜中強度運動では、体脂肪(脂質)がエネルギー源として動員される割合が高くなります。
脂質が最も効率よく使われる目安となるのが「効果的な心拍数(ファットバーンゾーン)」です。一般的には、以下のカルボーネン法または簡易計算式で求められます。
目標心拍数 = (220 - 年齢) × 0.5〜0.65
例えば40歳の方であれば、最大心拍数は180拍/分となり、脂肪燃焼に適した心拍数は90〜117拍/分の範囲に収まります。この心拍数ゾーンは、「隣の人と笑顔で会話ができる程度の早歩き」で容易に到達します。息がゼイゼイと乱れ、会話が困難になるペースで走ってしまうと、心拍数は140拍/分を超え、消費されるエネルギーの大半は脂質ではなく糖質へと切り替わってしまいます。
さらに見逃せないのが、「内臓脂肪燃焼」と「皮下脂肪の落とし方」の違いです。高強度のジョギングは交感神経を強く刺激し、アドレナリンや成長ホルモンの分泌を促すため、代謝活性の高い内臓脂肪を手早く燃やすトリガーになります。また、運動後も数時間にわたって代謝が上がり続ける「EPOC(運動後過剰酸素消費量)」の恩恵を受けられる点も走る側の大きな強みです。
対して、腰回りやお尻につきやすい皮下脂肪は血流が乏しく、急激な運動では分解が進みにくい特徴があります。低負荷で長く酸素を取り込み続けるウォーキングは、血中の遊離脂肪酸をじっくり酸化させ、皮下脂肪を無理なく削り落とすアプローチとして極めて優秀です。