現在のイタリア男子バレーの隆盛を語る上で欠かせないのが、指揮官フェルディナンド・デジョルジ監督の存在です。現役時代は1990年代に「世紀のチーム」と称されたイタリア代表の名セッターとして活躍し、世界選手権3連覇を経験した伝説のプレーヤーでした。
指導者としてもルーベやポーランドのクラブを欧州の頂点に導くなど輝かしい経歴を誇りますが、彼が2021年に代表監督に就任した際にとった方針は実に大胆でした。当時、長年チームの顔であった大物ベテラン選手たちを外し、当時まだ20歳前後だったミキエレットやラビア、さらには下部リーグでプレーしていたロマノらを迷わずスタメンに抜擢したのです。
この電撃的な若返り劇は、当初イタリア国内のメディアから疑問視されました。しかし、就任直後の欧州選手権2021でいきなり優勝を飾り、翌2022年の世界選手権でも24年ぶりの世界王座奪還を達成。デジョルジ監督の先見の明は世界を驚嘆させました。
社会学や組織行動学の視点から見ても、デジョルジ監督のマネジメント手法には学ぶべき点が多々あります。彼は選手たちに対し、過度な上下関係を撤廃し、失敗を恐れずに自己表現ができる「心理的安全性」をコート内外で徹底して構築しました。同時に、ディフェンスのシステムやサインプレーの細部には一切の妥協を許さない厳格な規律を求めています。この「精神的な自由と戦術的な厳格さ」の絶妙なバランスこそが、若い選手たちのポテンシャルを一気に開花させた起爆剤でした。