デザイン作業を始める前に把握しておくべき物理的な仕様が、漢字収録数です。「みんとキッス」は、文字セット全体を網羅した総合フォントではなく、特化型のひらがなカタカナフォントとして設計されています。
具体的に収録されているのは、ひらがな、カタカナ、英数字、そしてハートや星などの一部のポップな約物記号です。一般的な常用漢字やJIS第1水準・第2水準漢字は一切含まれていません。そのため、「みんとキッス」のフォントファイルをインストールした状態で「恋する放課後」と入力した場合、「恋」「放」「課」「後」の漢字部分はフォントが適用されず、OS標準の明朝体やゴシック体に文字化け(フォールバック)します。
プロの制作現場では、この仕様をあらかじめ織り込んだ上で、漢字部分に「新丸ゴ」や「筑紫丸ゴシック」、あるいはオープンソースの「マメロン」といった丸みを帯びたゴシック体を割り当てる混植作業を行います。文字ごとの太さ(ウェイト)や文字間隔(カーニング)を手動で微調整するスキルが求められるため、「入力するだけで誰でも完璧なタイトルが完成する」と思い込んでいると、思わぬ作業工数の増大に直面することになります。