ダイソーやセリアなどの100円ショップで販売されている老眼鏡は、その圧倒的な低価格から「各部屋やオフィスに1本ずつ置いている」というユーザーも少なくありません。しかし、現場の眼鏡店や眼科医療機関の取材データから見えてくるのは、利便性の裏に潜む明確なリスクです。
眼鏡市場などの大手専門店が手がける老眼鏡の最大の強みは、綿密な視力測定によって「左右それぞれの度数差」や「乱視の有無」、そして「瞳孔間距離(PD:黒目と黒目の間の距離)」をミリ単位で割り出してレンズを削り出す点にあります。これに対し、100均老眼鏡はコスト削減のためアクリル樹脂成型レンズが用いられ、左右の度数は同一、瞳孔間距離も日本人の平均値(約62mm前後)で一律固定されています。
取材に応じたベテラン眼科医は、100均老眼鏡の実態について次のように語っています。
「100均の老眼鏡自体が直接的な目の病気を作るわけではありません。しかし、左右の視力差が大きい人や乱視がある人が日常的に使い続けると、脳が左右の像を合成する際に強いストレスを受け、自律神経の乱れや首・肩の酷いこりを招きます。また、成型プラスチックレンズ特有の周辺収差(像の歪み)が強いため、長時間の読書には到底推奨できません。あくまで『外出先でメニューを見るための緊急避難用』として割り切るべきです」
手軽だからと100円の既製品をメイン機にし、見えづらさを放置したまま度数をむやみに上げていく行為は、目の調節疲弊を加速させる大きな要因です。