日本の長距離界には長年、「苦しさに耐え抜くことこそが美徳」とする風潮が根強く残っていた。厳しい上下関係、理不尽なルール、指導者の絶対的な権力。こうした旧態依然とした体育会気質に対し、青学陸上部は風穴を開け続けてきた。笑顔で襷(たすき)をつなぎ、メディアの前で堂々と自己表現をする選手たちの姿は、当初「チャラチャラしている」と批判を浴びることも少なくなかった。
しかし、圧倒的な結果がすべての雑音を封じ込めた。今や高校生のトップランナーたちが青学を志望する最大の理由は、その開放的な風土と個人の可能性を最大化してくれる環境にある。青学が示した成功モデルは、他の大学はもちろんのこと、実業団や中学・高校の指導現場にまで波及し、日本の長距離界全体の近代化を加速させている。