華やかな学生演劇のヒーローを待っていたのは、過酷すぎる下積み時代だった。役者として生きていく決意を固めた彼は、大学を中退。これに猛反対した実家からは仕送りを完全に打ち切られ、極貧の生活へと突入する。
電気やガスが止められるのは日常茶飯事だった。道端のタンポポの葉を摘んで水洗いし、ドレッシングをかけて食したというエピソードは、彼のストイックさと当時の困窮ぶりを象徴する有名な話だ。事務所に所属してからも仕事は容易には増えず、コンビニ店員やガードマン、ドーナツ屋のアルバイトに追われながら、小さなアパートの下宿部屋で黙々と脚本を読み込む日々が数年も続いた。
後に歴史的大ヒットを記録する『半沢直樹』で見せたあの凄まじい執念と眼光の鋭さは、この極貧時代に蓄積された不屈のエネルギーが昇華した姿にほかならない。