装置の種類による横顔へのアプローチ力の差も、患者が直面する重要な分岐点です。
ワイヤー矯正(表側・裏側)は、前歯を後ろへ引き込む「トルクコントロール(歯根の角度調整)」や、歯を骨の中に沈み込ませる「圧下」に極めて高い精度を誇ります。特に抜歯を伴う大きな移動において、前歯が内側に倒れ込む「舌側傾斜(内向きの出っ歯)」を防ぎながら歯根ごと平行移動させる処置は、ワイヤー矯正の得意分野です。費用は表側で80万〜110万円、舌側(裏側)で120万〜160万円、期間は2年〜3年半が目安です。
一方、近年のマウスピース型矯正装置(インビザライン等)も素材進化とアタッチメント技術の向上により、抜歯症例に対応できるケースが増加しました。ただし、マウスピースは歯を傾斜移動させる力が働きやすいため、前歯を大量に後退させる難症例では綿密なステージング設計と、顎間ゴムやアンカースクリューの併用が不可欠となります。費用相場は80万〜110万円、期間は1.5年〜3年程度です。
横顔の変化量を最優先にする場合、装置の見た目の目立ちにくさだけで決めるのではなく、「担当医がその装置で抜歯症例の前歯後退をコントロールしきれるか」を厳格に見極める必要があります。