中袋への記入を完璧に済ませた後も、お札の向きや金封の持ち運び方において押さえておくべき作法があります。
お札の向きと状態(肖像画の位置)
慶事(結婚式など)ではお札の肖像画が表側・上を向くように入れますが、弔事(葬儀・告別式)では真逆の配置にします。
香典袋にお札を入れる際は、「中袋の表(金額が書いてある側)」に対して「お札の裏面」が重なるように入れます。さらに、お札を引き出した際に肖像画が最後に現れるよう、肖像画を下側(底側)に向けて封入します。「顔を伏せて悲しみに暮れる」「故人の顔を見ないように悲しみを隠す」という意味合いが込められた伝統的な作法です。
また、お札は「ピン札(新札)」をそのまま使うことは避けます。新札しか手元にない場合は、あらかじめお札の中央に一度軽く折り目をつけてから包むのが、突然の訃報に対する心遣いとされています。もちろん、汚れすぎた破れのある紙幣を入れるのも不敬にあたるため、適度に流通している清潔な紙幣を選びましょう。
袱紗(ふくさ)の包み方と受付での渡し方
香典袋をそのままスーツのポケットやバッグから直接取り出すのはマナー違反です。必ず弔事用の袱紗(黒、グレー、紺、深緑、紫などの寒色系)に包んで持参します。紫色(古代紫)の袱紗は、慶事・弔事のどちらでも兼用できるため1枚備えておくと重宝します。
弔事における袱紗の包み順は「右 → 下 → 上 → 左」の順で折りたたみ、左開きになるようにします(右開きは慶事の包み方です)。
受付で香典を渡す際の手順は以下の通りです。
- 受付の順番が来たら一礼し、バッグから袱紗を取り出す。
- 袱紗を自分の手元で開き、香典袋を取り出す。
- たたんだ袱紗の上に香典袋を乗せ、相手(受付側)から見て表書きの文字が正しく読める向き(180度回転)に向きを変える。
- 「この度はご愁傷さまでございます」「心よりお悔やみ申し上げます」と小声で簡潔にお悔やみを述べ、両手を添えて丁寧に手渡す。